2月の読書メーター読んだ本の数:6 読んだページ数:2053 1日に読んだページ数:73ページ
王城の護衛者 (講談社文庫 し 1-2)
読了日:02月05日 著者:司馬 遼太郎
『王城の護衛者』は昭和40年秋に『別冊文芸春秋』(第93号)に発表され、会津松平家藩主松平容保を主人公として滅び行く会津藩の姿を描いています。『加茂の水』は昭和40年春『別冊文芸春秋』(第91号)に掲載され、岩倉具視の懐刀であった公家出身の僧玉松操を通じて王政復古の変革劇を描写しています。『王城の護衛者』と『加茂の水』は権力を失う側と掌握する側の裏面に光を当てた対をなす作品と言えます。『鬼謀の人』は昭和39年2月の『小説新潮』に掲載され、長州出身の軍略家で上野彰義隊攻撃の指揮をとり明治以降の近代的兵制の生みの親となった大村益次郎が描かれています。『英雄児』は昭和39年1月の『別冊文芸春秋』(第86号)に発表され、越後長岡藩の軍備を西洋式に改革し北越戦争を主導して官軍に対峙した長岡藩家老河井継之助を主人公としています。『鬼謀の人』と『英雄児』もそれぞれ立場の異なる軍事指導者を描いており、この2編も対をなす作品と言えます。『人斬り以蔵』は昭和39年4月の『別冊文芸春秋』(第87号)に掲載され、土佐の足軽出身で幕末に主に京都において暗殺者として活動した岡田以蔵を描いています。前4編が幕末期にそれぞれの立場で政治や軍事の中枢にあった人物を描いたのと異なり、『人斬り以蔵』はいわゆる末端の現場で行動した人物を描写しています。 ☆☆☆ 明治維新の中で、極光を浴びて、様々に描かれていた光(史実的には光とは言えないが)、その暗部はこうだったのだとまざまざとわからされた本作。日本が欧米の植民地にならず、独立国として江戸時代から明治に移行できたのはさっくりと「明治維新」のおかげだとしても、その後の日本国の在り方は紆余曲折で、そのために徹底的に国家壊滅的に「敗戦国」となった。近代の歴史って、受験や卒業の都合で、歴史授業でないがしろにされがちながら、やっぱこの近代史が、子どもたちには一番大切な勉強ではないのか💦
湘南機動鑑識隊 朝比奈小雪 (徳間文庫)
読了日:02月09日 著者:鳴神響一
鑑識体制の強化を目的に新設された機動鑑識隊江の島分駐所。湘南地域で発生した事件に二十四時間対応する遊軍部隊だ。新米鑑識員、朝比奈小雪の初出動は散々な結果に終わった。転落死した遺体の惨状に衝撃を受け失神してしまったのだ。名誉挽回とばかりに意気込んで向かった次の現場で、小雪は「奇妙な足痕」を発見するが……。 ☆★★ 江の島を中心に横須賀から大磯くらいまでが舞台の話しで、最初の事件が平塚で…。なんか13年ほど住んでるこのあたりの地名がいっぱい出てなんとなとなく親近感。とはいえ、物語は、鑑識という専門分野を描いているのに深堀がなく心理描写中心で、しかしその心理描写も、人間関係ばっかで「人となり」の芯が弱くて膨らまなくて残念や。
半パン・デイズ (講談社文庫 し 61-2)
読了日:02月14日 著者:重松 清
小学生のころ、どんな少年だった?東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。慣れない方言、小学校のヤな奴、気になる女の子、たいせつな人との別れ、そして世の中……。「青春」の扉を開ける前の「みどりの日々」をいきいきと描く、ぼくたちみんなの自叙伝。 ☆☆☆ ちょうど設定的には自分とほぼほぼ同年代。しかしそうだからではなく、男の子の「半ズボン」時代の心理は、うちの孫1号(現在12歳)を観察していても、あまり変わらない。そう思って読むまでもなく、自分の子供の頃の心理を丸裸にされているように感じた。何度、「穴があったら入りたい」と、恥ずかしさが憑依したか…💦
桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)
読了日:02月21日 著者:宮部 みゆき
父の無念を晴らしたい――そんな思いを胸に、上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと気にかけ、手を差し伸べてくれる。家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。しみじみとした人情にほだされる、ミヤベワールド全開の時代小説。タイトルの「桜ほうさら」は、甲州や南信州の「ささらほうさら」(いろいろなことがあって大変という意味)という言葉に桜をからめた言葉。桜の季節に始まる心温まる物語。 ☆☆★ 人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂。なんせ設定が江戸時代の後ろの方の華な時代ではなくなった、今でいえばバブル崩壊後の頃で、大川界隈の下町で、長屋中心の人情物語ってなると完璧に宮部ワールドだ。しかし本作は、下町人情物に止まらず、ミステリーの要素が強くて❕上巻はネタふり、さてこれからどう展開しいくのだろうとわくわくだ。
先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ キA 1)
読了日:02月22日 著者:北山 猛邦
愛や勇気など、形のないものまで盗む伝説の怪盗・フェレス。その怪盗が、凪島のアートギャラリーに犯行後カードを残した! 灯台守高校に入学した雪子は、探偵高校と怪盗高校の幼馴染みとともに捜査に乗り出す。だが盗まれたものは見つからず、事件の背後に暗躍する教師の影が。「誰が?(Who?)」ではなく「どうやって?(How?)」でもなく「何が(What?)」盗まれたか? ☆★★ 奇想天外の設定で舞台展開していくのなら、その設定に説得力を持たせてもらわないと、読む方にとっては置き去りにされている気分になるか、「あ~あ、それってないない」と白けた気分になって読み進めていくかになる、と思う。悪くはないねん、悪くはないけど、もうちょっと何とかしてほしかった…💦
マイクロスパイ・アンサンブル (幻冬舎文庫 い 57-2)
読了日:02月25日 著者:伊坂幸太郎
付き合っていた彼女に振られた社会人一年生、どこにも居場所がないいじめられっ子、いつも謝ってばかりの頼りない上司……。でも、いま見えていることだけが世界の全てじゃない。知らないうちに誰かを助けていたり、誰かに助けられたり。残業中のオフィスで、事故現場で、フェス会場で、奇跡は起きる。優しさと驚きに満ちた現代版おとぎ話。 ☆★★ 元々が伊坂幸太郎さんの地元イベントのフリーペーパー向けに書いた短編がきっかけで積み重ねで一冊の本になったとのこと。二つの異世界が同時並行して交差していく、時代もあっちに行ったりこっちに戻ってきたりと交錯する設定はまさに伊坂ワールドやねんけど、自分設定の「伊坂幸太郎」のレベルとすれば、ちょっと辛口評価になってしまう。これが伊坂作品でなければ☆三つやねん😅
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